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何もないところからのスタート

結婚してアイルランドに越してきた時、夫の家には洗濯機がありませんでした。
どうやって洗濯をしていたかというと、バケツに洗剤とお湯を入れて、そこに服をつっ込んでそのまま数時間ほったらかし。格好よくいえば「つけおき洗い」ということでしょうか。それから服を絞って、水のしたたる洗濯物を干すのです。乾くまで何日もかかるし、こんな洗い方で本当に汚れが落ちているのか心配にもなりましたが、涼しい気候ときれいな空気のおかげで服は思ったほど汚れておらず、二人暮らしで出る洗濯物の量も限られていたので、慣れればそれほど苦ではありませんでした。シーツなどの大きい洗濯物だけは、夫の実家に持っていって義母に洗ってもらっていました。

ないもの自慢をしてもしょうがない話ですが、掃除機もありませんでした。
チリやほこりは小さなほうきで掃いていました。大きな家ではなかったので、こちらも大して苦とも思いませんでした。

キッチンには調理用のコンロがぽつんとありましたが、よく見るとキャンプ用のガスコンロ。キャンプ用なので蓋が閉まるようになっていて、ガスボトルもなくなるたびに町のアウトドアのお店で小さな携帯用のを買っていました。

冷蔵庫はかろうじてありましたが、冷凍庫のドアが閉まらない化石のような冷蔵庫で、中にはバターと豆乳、野菜が少し。
牛乳も卵もなにもなし。ディナーに何を作ったらいいのか、最初はとても困ったものでした。

私が来る前に夫が既に10年以上住んでいたこの貸し家は、1950年代に建てられたらしきもので、断熱材の入っていないとても寒い家でした。冬になると、必ずと言っていいほど霜焼けになっていたのを覚えています。

もう一つなかったものはテレビです。いえ、正しく言えばテレビはあったのですが、常に食器棚の奥に収納されていました。年に数回、夫の好きなラグビーの中継がある時に登場するだけでした。テレビがあると常に見てしまう=時間が無駄になる、ということで私も慣れてしまうとテレビなしの生活は快適でした。

テレビがなければ当然インターネットなんてものがあるはずもありません。固定電話もなかったので、生まれて初めて携帯電話を購入しました。Eメールやネットでの調べ物などは週に一度、夫の実家に行ったときに済ませていました。

と、まあざっとこんな感じでとにかくないもの尽くしのスタートでした。
今になってみると、どうしてあんな生活環境で不満も言わずのんきにやってられたんだろう?と自分でも可笑しくて仕方ありません。男性の一人暮らしゆえにもののない家だったということなのでしょうが、私は新境地での生活に向けて肩に相当力が入っていたのだろうと思います。「そうか、こういうものなのか!」とそのまま受け取り、懸命にこちらでの生活に順応しようと頑張っていたのだろうと思います。

今になってこの時代の生活を振り返ると、何もないところでもそれなりに生きていけるんだということを、私に教えてくれていたように思えるから不思議です。ものにあふれた暮らしに慣れ過ぎていた私にとっては、この極度な環境がかえっていい薬だったのかもしれません。


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