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アイルランド英語のアクセント
アイルランドの英語というと「すごく訛ってるんじゃない?」と言われることがよくあります。
古い英米小説を読んでいると、ときどきアイルランド人が登場してひどい訛りでしゃべる、などという一幕に出会ったりしますね。確かにアイルランド人の英語は、日本で習っていた英語=アメリカ英語とは全く別ものです。特に田舎のお年寄りの英語になると、何度も聞き返さないと分からないことがあり、難解です。
あるイングランド人の友人が、ある時こんな話をしてくれました。「もしあなたが地元(フィークル)の人たちの英語が難しくて理解できなくても、落ち込むことはないわよ。私の友達がウェールズから遊びに来た時、私の隣人と話をして30%ぐらいしか分からなかったって言ってたぐらいだから!」
「アイルランドなまり」といっても日本の方言と同じように、地方によってまったく違います。ダブリン訛り、クレア訛り、ドニゴール訛り・・また、例えばクレアの中でも東部と西部では違いますし、その町や村特有のアクセントがあることもあります。
また、長いこと海外に暮らしていた人や、アイルランドでも自分の故郷を離れて違う州などに暮らしていた人の英語は、さまざまなアクセントがミックスされていることも多く「あの人、変わったアクセントだよね。どこの人なんだか分からない」といったことも起きます。
また、同じ村の出身であってもその人の受けた教育や職などの理由でアクセントが違ってくることももちろんです。
このように、アイルランドの人々はみなそれぞれ違うアクセントで英語を話しており、無理に訛りを直そうとしたり、自分の訛りを恥ずかしいと感じている人は少数派のようです。アイルランド人は地元意識が強く、どこの州、どこの町の出身かということが非常に大事です。彼らの話す英語のアクセントは、彼らのアイデンティティーそのものでもあるのです。
「英語」とひとくくりにいってもいろいろな英語があります。「アイルランドの英語は訛っている」と思うか思わないかは、その人がどの立場から英語を見ているかによるのではないでしょうか。
その土地で培われたオリジナリティー溢れる英語はとても面白いし、どれも魅力的です。
アイルランドの英語が訛っているわけではなく、世界のどの地域の英語もその土地ならではの発音の仕方、使われ方をしていると考える方が自然のように思います。
「語学留学をしたいが、アイルランドの英語は訛っているそうだから、やっぱりオーストラリアにしよう」なんて考えておられる方がもしいらしたら。アイルランドの人々からすれば「オーストラリアの英語も相当に訛ってるじゃないか」ということになるわけです。